クラシック音楽専門店

好みの分かれる豪壮華麗なサウンド
オーマンディ/フィラデルフィア管の個性を存分に発揮できる曲ばかりが選ばれている。
クラシックとしては迫力や臨場感、色彩感に満ちた演奏で、気軽にクラシック音楽を楽しみたい方にはうってつけ。
ただし、カチカチのクラシックマニアの方には、こうした演奏は多分気に入らないのではないか。
スカッとした気分になれる小品集
1968年にRCAに復帰してすぐにオーマンディは過去にも録音していた小品を再録音し始めました。｢華麗なるフィラデルフィア･サウンド｣というシリーズがその代表的なもので、この名前で何度もCDが出ていますが、このCDはそのシリーズの音源をメインに同時期の録音から舞曲を集めたもので、世界初CD化のものが6曲も含まれています。

舞曲、それもかなり激しいリズムの曲をオーマンディ&フィラデルフィア管はテンポやオーケストレーションを独自に変えつつ、臆面もない華麗さで演奏していて、オーケストラの華麗な演奏が好きな人、熱い曲で興奮したい人にとってはまさに大満足なCDだと思います。実際これほど派手な曲目ばかり集めた小品集というのは意外とないものなので。

vol.1の方は狂詩曲･交響詩のこれまた派手なものばかり集めたもので、同様の意味でお勧めなのですが、もしかしたら入手困難かも知れません。
音楽を音楽として楽しみたい人に
オケの抜群の響きは別にして、1970年代に入ってからのオーマンディの演奏は、テンポや強弱の変動が少なくなり、それまでの演奏と比べると、曲によっては、「指揮者として表現意欲に乏しいのでは？」という印象を受けることもありました。このＣＤの中にも、いくつかそういうものもあります。けれども、じっくり聞き進んでいるうちに、何と楽しげで、円満な気持ちに包まれていくことでしょう！　音楽が、音楽として、一切歪められることなく、正しくそこで息づいているということが素直に感じ取れます。芸術性とか、指揮者の個性とか、そういうことが何だかつまらなく思えてくる演奏でした。劇場の「三流」指揮者からスタートしたオーマンディは、何かそのあたりを非常に達観していたのではないか、と、珍しい「そりすべり」を聞きながら思いました。
子供と一緒に楽しめる一枚です。
聞いていると、思わず踊りたくなります。中でも、「サムソンとダリラ」のフレーズは一度聞いたら忘れられない！
リムスキー＝コルサコフの「くまばちは飛ぶ」もおかしいです。
季節モノの「そりすべり」なんかも入っていて、子供と楽しめる一枚です。

ルーセル入門に最適
フランス音楽はもともとそれほど好きなほうではなかった。ドビュッシーにしてもラヴェルにしても・・・。言いたいことはもっとはっきり言わんかいゴルァア！、ってな感じで（すみません）。

でもこれはなかなか良い。とにかく華麗であると同時にエネルギッシュ。ルーセル、好きになりました。演奏もミュンシュ、マルティノンといった巨匠を指揮者に迎えた最高の組み合わせでしょう。ミュンシュの指揮は本当に情熱的で、単に美しいだけでなく興奮を呼びます。このボリュームでこの値段はお買い得だと思うぞ。

しかし、ルーセルは虫好きだったとは知らなんだ。

伝統的なドイツ的な演奏
今まで、なぜかコンヴィチュニーのベートーヴェンを聴く機会を逃してきた。フルトヴェングラー、シューリヒト、ワルター、ベーム、クレンペラー、シュミット＝イッセルシュテットなどの全集を聴いてきたが、今回やっと、コンヴィチュニーの全集を聴いてみて、全集としては、このコンヴィチュニー盤が音質も良いし、演奏も良く、最もまとまりのある全集盤だと思えた。 コンヴィチュニーの指揮は伝統的なドイツ的な表現でスケールも大きく、誰もが安心して聴くことのできる演奏だと思う。どの曲も充実したオーケストラの響きを聴くことができる。今は失われつつある、「ドイツの音」がする。どこか無骨と言うか、職人的な音楽作りは、往年のドイツの名指揮者に相応しい。 「エロイカ」の充実した響きは特に印象に残った。フィナーレ楽章をやや速めのテンポで演奏するところなど、「ウム、オヌシ、ヤルナ」という感じである。まるで古武士のような風格を感じる演奏だった。 どの曲も分厚いオーケストラの響きが最高だし、高級感や威厳もある。久々に質の高いクラシック演奏を聴けて幸せな気分にひたった。 音質はステレオ初期の録音だが、極めて良好な音質を誇り、オーディオマニアでも不満は感じないだろう。
「燻し銀」とは言いたくない！
　カラヤンのように流麗ではないが、音楽の流れは極めて意志的で、自分が今どこにいるのか、はっきりと知らしめてくれる。ライプツィヒのオケはウイーンフィルのように華麗で美しいわけではないが、見事に調和していて「良い音」がする。アインザッツが奇麗に揃っているわけでもないが、それが音楽に重厚感を与えている。
　昔の流行語風に「ヘタウマ」と言うべきかとも思うが、狙ってそうなっているわけでもない。
　音楽に感動するということは、ただ単に、「上手にできた」（それが感動を与えることもある）、「美しい」（純粋な美に涙することもある）、「格好いい」（それも一つの価値観だ）といっただけでは片付けられないところがある。それを「意志の力」とでも言うべきだろうか。

　コンヴィチュニーのベートーヴェンは、結構アツい。軽めの曲であるはずの１番からして、クライマックスに向かってどんどん加熱していく。この全集の白眉は、個人的には７番だ。少しもっさりと始まる第１楽章から、熱狂の渦に巻き込まれる第４楽章まで、少しずつ音楽が上昇し、それに伴ってこちらの心がどんどん高揚していく感覚は、この演奏からしか得られない。
　この人のリズムの刻み方は、独特の拍節感があって音楽の形もよくわかる。

　「燻し銀」などという言われ方をするが、私にとってはエバーグリーンの大切な全集だ。
重厚で頑固なベートーヴェン
フランツ・コンヴィチュニー指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団＆ライプツィヒ放送合唱団によるベートーヴェン交響曲全集。
録音は１９５９年〜１９６１年のステレオ録音。
カップリングには「レオノーレ」序曲「コラリオン」序曲「フィデリオ」序曲「プロメテウスの創造物」序曲などの序曲集を収録しています。
重厚で頑固なベートーヴェンらしい名演になっています。
値段はすこし高めですが聴いてみると買ってよかったと思える全集になっています。
ベートーヴｪンの魂にふれる
このＣＤを聴いていて、不覚にも涙がこぼれそうになった。
滑らかさやスマートさと全く無縁の、ごつごつした、骨太のベートーヴェン。しかし、細部もゆるぎなく構築されている。
作曲家がイメージしていたのは、こういう音楽だったのではないか。これこそが、真にベートヴェンが言いたかったことなのではないか、という思いがした。