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オルガン奏者リヒターの名演
ステレオ初期の録音だけに、流石に現在では音も古く、また古楽器による演奏になじんだ耳には、大げさで古色蒼然とした演奏に聴こえるかも知れないが、オルガン奏者としてのリヒターの力量を如実に伝えている点では、彼が残したバッハのオルガン曲のディスク以上の価値があると思う。

ストップの選択も説得力があり、また、オルガンの音色が美しく、しかも、歯切れのよいリズムを大切にしながら、一音一音を丁寧に弾くリヒターのオルガンは実に魅力的。作品４−１ト短調のアレグロやアンダンテだけをとっても、その魅力はコープマン盤やプレストン／ピノック盤を凌ぐ。オルガンを聴く楽しさを知る上でも、格好の一組では。

可憐さを併せ持つブレンデルの代表作
有名な20番におけるカデンツァのモダンで独創的な演奏や、25番における高揚感（幸福感）など、どの曲も一様に聞き所に溢れた名盤中の名盤。 特に注目すべきは、14番?19番のような中期傑作群での演奏。オペラ・ブッフォ調のスタイルが、精確無比な指運の下、愉しげに、活き活きと、大胆に再現される様は、聴いてるこちらまで浮き浮きワクワク・・更にその中でも、15番や18番での快活な演奏は絶品。リズムの跳ね方や、あたかも決して途絶えることの無い女達の会話や、スキップしながら辺りを飛び回る少女のような可憐ささえ醸し出された絶妙なニュアンスに、もはやブレンデルの隠れた素顔を見る思い・・。 総じて、一つの「規範」を前提にしながら、何度も何度も聞きたくなる魔力のようなものがあり、「ブレンデルのモーツァルト」という唯一無二のジャンルすら創り上げているように思われる。
どこまでも美しい調べを追い求めるモーツアルトの旋律がブレンデルのリリカルなピアノで奏でられる
アルフレッド・ブレンデルという人はアルバム・ジャケットの写真などをみると学者然とした小さな人物を想像するが、実際の演奏会をライヴで聴くと、非常に大きな人でビックリした覚えがある。この人の絶頂期の演奏は実に体躯に似合わず繊細で、NHK交響楽団でのチクルスやシューベルトの『即興曲』の演奏は心に残る名演だった。 そのブレンデルのモーツアルトのピアノ協奏曲も絶品だ。僕はモーツアルトのコンチェルトの絶対条件として以下の3つを重要視する。 1.交響楽団が小規模編成であること 2.管よりも弦の響きを大切にしてる交響楽団であること 3.そしてなんと言ってもピアノにリリシズムがあること この選択肢として最も近いのはドレスデン・シェタカーペツレだと思うが、本作の アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズも合格だと思う。そしてどこまでも美しい調べを追い求めるモーツアルトの旋律がブレンデルのリリカルなピアノで奏でられる。 間違いなくNo.1のモーツァルト:ピアノ協奏曲全集だと断言したい。僕が最も好きなのは第19番と戴冠式だ。
Fabulous!
This is such a fabulous album. Brendel's interpretation unfold gently, phrasing is carefully subtle.
繊細なモーツァルト
今から数十年前、ＬＰの時代にブレンデルのモーツァルト：ピアノ協奏曲集がセットで発売された。その時以来ブレンデルのモーツァルト：ピアノ協奏曲を愛聴している。追加された曲を含めたこの全集を、この度ＣＤで聴いてみた。かつて何度も聴いているはずの曲も、新鮮である。ここでブレンデルは、こまやかな気品のある音楽を創出している。聴く度に新鮮な感銘を与えられる。次から次へと、止めどなく聴きたくなる。本当にどの曲をとってもしなやかな繊細さに感心するのだから、たまらない。確かに「至宝」というに相応しい全集である。
標準的な全集
ブレンデルのピアノは明るく、テクニック、表現ともに申し分ない。ところどころスコアにはない装飾や挿入をしているところが光る。しかし、作品に対する高いモチベーションは感じられない。

マリナーの指揮は、内田光子盤のテイトやバレンボイム旧盤における自身の指揮のような作品に対する意欲的なアプローチは感じられず平凡な気がする。