クラシック音楽専門店

買って良かった
散々迷った挙句、この11枚組CDを購入しました。 迷ったのは手頃な価格ではないことと、何よりも音質が心配だったからです。 録音自体がかなり古い上に、これまで買ったEMIで古い音源のCDは音質が他社に比べて 劣る事が多々あったからです。 でも。CDを聞いてから「こんなことならもっと早く買っておけば・・・」と 思いました。確かに良い音質とは言いませんが、十分鑑賞には堪えられると思いますし、 クライスラーの良さはきちんとCDを通して伝わってきます。さすが11枚組という事も あって、色んな作品を網羅しているので楽しめます。 残念なのは、きちんとしたプラスチックのケースに入っているのかと思いきや、 一枚一枚布製のお手軽な袋に入れたCDを箱の中にポンと入れた簡単な装丁だったこと。 丁寧な解説書は付いていますが、箱の色同様、くすんだ色で趣味がいいとは言えない･･･ それ以外は満足の星5点。
20世紀の巨人の（ほぼ）全貌
〜　同じクライスラーのアンソロジーはＢＭＧからもＲＣＡ録音の集成ものが出ている。ＥＭＩ盤の特徴は、ＲＣＡ録音より後の時期のものが多く、その分、大曲の割合が多いということ。
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　ここには、ベートーヴェン、ブラームス、メンデルスゾーンの協奏曲の新旧演奏が収められているし、ベートーヴェンのヴァイオリンソナタ全集も入っている。クライスラーといえば、まず小品というイメージが強いと思われるが、大曲を弾かせてもしっかりとした構成感で堂々とした演奏を聴かせてくれる。
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　クライスラーのエンターテイナーとしてではなく、シリアスな側面を伝えてくれるという意味では、ＲＣＡ録音を上回る価値を持っていると言えるかも知れない。先に挙げた協奏曲以外にも、バッハの無伴奏ソナタ第１番の第１曲も収録されていて、ぴんと張りつめた空気、音の美しさなどは、比類ない高みに達していると思う。

　もちろん、小品の数々も絶品。〜

懐かしいボヘミアの香り
チェコフィルの演奏を聴く機会があり、印象深かったスラブ舞曲のＣＤをさがしているときに見つけ、極めて幸運だったと思う。

ドヴォルザークの曲は、新世界交響曲とチェロ協奏曲ロ短調を若い頃によく聞いたが、この１２のＣＤすべての管弦楽曲、協奏曲が心に優しく、懐かしく響いてくる。決して高ぶらない、穏やかで静謐な自然と心持ちが感じられる。まだ行ったことのないボヘミアは、やはり東洋に通じているのか。

短調の人気曲に挑戦
1996年5月および1998年3月、Mozart-Saal、Stuttgartで録音。キースがモーツアルトのコンチェルトに挑戦していたこの頃、もう一人モーツアルトのコンチェルトに挑戦していたジャズ・ピアニストがいた。チック・コリアである。『プレイ・アマデウス』と名付けられたアルバムでは、ボビー・マクファーリン(!)が指揮で同じ第20番のコンチェルトをやっている。

なにしろ、この第20番二短調は大変な人気曲で、長調が多いモーツアルトの曲中で翳のある美しさを持った曲だ。キースはとても素直に弾いている。ちなみにチックはものすごく粗放にインプロビゼーションまで混ぜて演奏している。二人の甲乙についてはスタンスの違いもあって難しいところだが、結果としてはチックの方がいい気がする。

アルバムのカップリングの選!曲がすごくアルフレッド・ブレンデルと似ているなぁと思うのは僕だけかなぁ。

ブーレーズ先生のヴェーべルンへの最大級のオマ−ジュ。
　ブーレーズ先生がヴェーベルンに深い愛情を若いころから注いでいらっしゃったことはよく知られています。まさにヴェーベルンに対する愛の結晶とでも言うべき全集です。

　この全集を耳にしたときの感動は言葉に言い尽くせないものがありました。特に交響曲の透明感や管弦楽のための６つの小品の細部にまで目の行き届いた演奏はヴェーベルンの理想とした響きではないでしょうか。二十世紀の遺産のひとつといっても過言ではないです。